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夜の姉妹団─とびきりの現代英米小説14篇/柴田元幸編・訳 


2001.08.07
Tue
05:36

今をときめく超多忙な翻訳家である柴田氏の好みを、目いっぱい反映した英米の現代小説短編集である。ここに収められた14の短編は、英語圏で書かれた現代小説であるということと、400字換算で45枚程度までということ以外、何の統一性もないそうだ。知っている作家もあるが、ほとんどが未読の作家ばかり。そういった点では、この中から気に入った作家の別の作品を読もうという気持ちに発展していったものも数多い。優れたアンソロジーには、そういった楽しみがある。

もちろん柴田氏と私の好みは同じではないから、これはちょっと…と思うものもあるが、だいたい80%くらいは面白く読めたし、なるほど柴田氏ならではと納得させられる作品も多かった。ちなみに私が気に入った作品をいくつか挙げてみると、まず表題作のスティーヴン・ミルハウザー「夜の姉妹団」、スチュアート・ダイベック「僕たちはしなかった」、ジョン・クロウリー「古代の遺物」、ドナルド・バーセルミ「アート・オブ・ベースボール」、アンジェラ・カーター「ジョン・フォードの『あわれ彼女は娼婦』」、ルイ・ド・ベルニエール「ラベル」といったところか。それぞれの作品の頭に、柴田氏の解説がついているのも親切だし、取り上げられた作家の作品リストも今後の参考になる。

少し前まで、短編に対する偏見があり、短編はサマセット・モーム以外は認めないなどという頑なな態度を取っていたのだが、最近、T・コラゲッサン・ボイルやメリッサ・バンクなどのすばらしい短編集に巡り会ったり、フランシス・コッポラが刊行した『ゾエトロープ』などの斬新な短編集を読むうちに、その考えもだいぶ変わってきた。短編集という形が苦手だったのではなく、文章の巧みな作家の作品であれば、どんな短編でも面白いということに気づいた。つまり、これまでそういう作家はモームしか出会っていなかったというわけだ。

短編の書ける作家は、だいたい長編もそつなくこなせると思うが、長編作家が面白い短編を書けるとは限らない。そんなわけで、作家の質やタイプを見分けるのに、短編集は案外便利かもしれない。数人の作家の作品を集めたアンソロジーでは、その中にひとつ、気に入った作品があればいいとも思っている。そういう意味では、この短編集はアタリだったと言えるだろう。

目 次
夜の姉妹団(スティーヴン・ミルハウザー)
結婚の悦び(レベッカ・ブラウン)
境界線の向こう側(ミハイル・ヨッセル)
僕たちはしなかった(スチュアート・ダイベック)
古代の遺物(ジョン・クロウリー)
シャボン玉の幾何学と叶わぬ恋(レベッカ・ゴールドスタイン)
アート・オブ・ベースボール(ドナルド・バーセルミ)
ドナルド・バーセルミの美味しいホームメード・スープ(ドナルド・バーセルミ)
コーネル(ドナルド・バーセルミ)
いつかそのうち(ジェームズ・パーディ)
ジョン・フォードの『あわれ彼女は娼婦』(アンジェラ・カーター)
匕首をもった男(ラッセル・ホーバン)
ラベル(ルイ・ド・ベルニエール)
北ロンドン死者の書(ウィル・セラフ)
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