10/ 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30./12

スポンサーサイト 


--.--.--
--
--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

trackback -- |comment -- | 記事編集

go page top

BLUE WORLD (1989) 『ブルー・ワールド』 


2013.06.20
Thu
05:47

『Blue World』/Robert R. McCammon (著)
マスマーケット: 464 p ; 出版社: Pocket Books ; ISBN: 0671695185 ; (1990/04/01)

『ブルー・ワールド』 文春文庫/ロバート・マキャモン (著), 小尾 芙佐
文庫: 633 p ; 出版社: 文芸春秋 ; ISBN: 4167309386 ; (1994/09)


収録作品

Yellowjacket Summer/スズメバチの夏
(トライライト・ゾーン誌 1986年10月号)
ジェローム・ビクスヴィのSFファンタジー短編の名作「今日も上天気」のパターンを踏んだクリーピィな作品。深南部の不気味な雰囲気が光る。

Makeup/メーキャップ
(『恐怖小説の巨匠たち』フランク・コーフィー編 1981年)
さながら、リチャード・マシスンかチャールズ・ボーモントあたりが書きそうな<ミステリー・ゾーン>タイプの話。マキャモンの実質上の処女短編。なお、この作品は、ジェフリィ・ブルーム監督がTVの『ダークルーム』シリーズの一話として映像化しているが、マキャモンは最低の出来とけなしている。

Doom City/死の都
(『グレイストーン・ベイⅡ』チャールズ・L・グラント編 1987年)
これも、往年の<ミステリー・ゾーン>を彷彿とさせる作品。ラストのひねりが効いている。

Nightcrawler/ミミズ小隊
(『ナイト・ソウルズ』J.N.ウィリアムソン編 1984年)
おそらくヴェトナム戦争後遺症ホラーものでは、長編ではピーター・ストラウヴの『ココ』、短編では本作品が傑作の名に値するだろう。なお、本作品は『エクソシスト』の監督ウィリアム・フリードキンがTVの『トワイライト・ゾーン』シリーズの一話として映像化しており、大好評を得た。

Pin/針
(書き下ろし)
狂人の独白を詩的かつ実験的に描いて、読む者をグルーミィな気分にさせる秀作。

Yellachile's Cage/キイスケのカゴ
(『世界ファンタジー大会プログラム』 1987年)
ホラーというよりもマジックリアリズム風の異色作。

I Scream Man/アイ・スクリーム・マン
(ホラー・ショー誌 1985年冬号)
破滅後の世界を描きながら、どこかノスタルジックな味わいのある作品。マキャモンが敬愛するブラッドベリの世界を想起させる。

He'll Come Knocking at Your Door/そいつがドアをノックする
(『戦慄のハロウィーン』アラン・ライアン編 1986年)
古典的な<悪魔との取引>テーマをひねった、田舎ホラーの佳作。

Chico/チコ
(書き下ろし)
超能力者テーマを語った作品だが、ゴキブリを小道具に現実と悪夢を見事に融合させている。

Night Calls the Green Falcon/夜はグリーン・ファルコンを呼ぶ
(『シルヴァー・スクリーム』デイヴィッド・J・ショー編 1988年)
アメリカン・コミックスと40年代の連続活劇冒険映画のパスティーシュ。ホラーというより。現代のドン・コホーテをユーモアとペーソス溢れるタッチで語ったファンタスティックな中編だ。

The Red House/赤い家
(『グレイストーン・ベイ』チャールズ・L・グラント編 1985年)
これも田舎ホラーのひとつ。悪魔(と思われる)の一家を狂言回しに父と子の関係を語った幻想譚。

Something Passed By/なにかが通りすぎていった
(書き下ろし)
終末の世界を背景に起こるシュールな現象の数々を描いたSFホラー。この短編には、25人のホラー作家の名前が散りばめられている。何人わかるかで、読者のホラー・マニア度が計れる仕組み。

Blue World/ブルー・ワールド
(書き下ろし)
中編とはいえ、一昔前なら長編で通った枚数のあるこの力作を、マキャモンは一気呵成に一週間で書き上げたという。超自然的要素をいっさい排し、連続殺人鬼は登場するもののサスペンス色は希薄にして、物語の大筋をポルノ女優に恋した神父のエロティックなオブセッションと自己洞察に絞った本編は、『マイン』以降の90年代のマキャモンを予感させる作品である。


(解説/風間賢二)

1989年度ブラム・ストーカー賞候補作
1990年度世界幻想文学大賞受賞作


マキャモン唯一の短篇集。映画を題材としたアンソロジー『Silver Scream』に収録された「夜はグリーン・ファルコンを呼ぶ」をはじめ、雑誌やアンソロジーなどに発表された主な短篇が収められている。

なかでも「ミミズ小隊」は1985年度世界幻想文学大賞短篇賞を受賞した名篇として知られ、古風なSF/ホラー短篇を思わせる着想を迫真的でリアリスティックな現代的筆法で仕立てたパワフルな作品。テレビ・シリーズ《新トワイライト・ゾーン》の一エピソードとしてウィリアム・フリードキン監督により映像化もされており(邦題は「帰還兵」)、こちらも迫力の出来栄えである。

なお、本書の序文には同志たるホラー作家たちの名にまじって、レイ・ブラッドベリに謝辞が捧げられており、『少年時代』をはじめとする近年の作品に漂うファンタスティックな叙情が、ブラッドベリ直系であることがわかる。

(ロバート・R・マキャモン作品案内/文藝春秋・編集部)

● MY OWN REVIEW

「あたりがみんなブルーに変わるとき、世界が息を殺しているように見える。これがブルー・ワールドよ。・・・ブルー・ワールドは夜の入り口、でも怖がることはない・・・だってブルー・ワールドはまたやってくるんだよ、夜明けに、それは夜の出口なんだよ・・・」─(ロバート・R・マキャモン「ブルー・ワールド」)

マキャモンは自分でも言っているように、長編作家だと思う。短編は、たしかにホラーとしては面白く、恐怖そのものが描かれているものの、マキャモンの持ち味である善なるものが描かれていない。そういう意味では、「夜はグリーン・ファルコンを呼ぶ」は、唯一善なるものが描かれていたと言えるだろう。

私は、マキャモンのそうした善なる部分が好きだから、やはり長編でないと、と思う。短編集の中の「ブルー・ワールド」は、普通の文庫本1冊ほどの長さがあるので、長編と言ってもいいくらいの中編である。これは、やっぱり良かった。マキャモンは自身も、短編が苦手だと思っているらしい。

世の中に星の数ほどもある、つまらない短編集に比べたら、断然面白い部類だし、世間一般的に見ても、マキャモンの短編がダメだということはないでしょうと思うのだが、私個人の好みとしても、やっぱりマキャモンは長編だなと思う。最後の「ブルー・ワールド」は、それなりの長さがあるから、読み応えもあったし、感動して目頭が熱くなったほどだった。

厳格なカトリックの神父が、教会に告解に来たポルノ女優を好きになってしまい、聖職者にはあるまじき行為に走る。さんざん悩み苦しみながら、そのうち身分を隠して会うようになる。最後には自分の命を賭けて、連続殺人犯から彼女の命を守り通し、命だけでなく、彼女の精神をも地獄から救い出すという話。

厳格な神父であるがゆえに、「おお神様、罪をお許しください」などと思いながら、内心の激しい葛藤と戦っている様がおかしい。こんなときにキリストは一体どうしろと教えているのか?だが、聖書は、キリストも通ったであろうその時期を飛ばしてしまっているので、何の役にも立たない。

しかし、だんだん彼女に惹かれていくにつれ、彼女の生活に深く関わるようになり、神父自身もピアスをつけたり、クラブに行ったりするようになるのだが(自ら進んでというわけではないが)、こうした世俗の底辺にこそ、救うべき魂があるのだと気づく。

結局、厳格な神父だって男なんだから・・・と思っていたが、この神父、なかなかどうして意志が強く、最後の一線は絶対に越えない。シュワちゃんも顔負けのド派手なアクションを演じて彼女の命を救ったばかりでなく、見事に彼女を地獄から救い出し、幸せを祈って旅立たせ、再び厳格な神父へと戻るのだ。(拍手!)

こういうところがマキャモン的だと思う。善はあくまでも善で、その役を担った主人公は、必ずそれをやり遂げ、けして悪には染まらない。この作品の神父も、まさかそんな!といった強さを発揮し、最後まで善をつらぬく。ちなみにこの神父は、マキャモンの一番新しい作品『魔女は夜ささやく』の若い判事見習い(書記だったか?)のマシューを思い起こさせる。

それと、この作品には、これでもか!というくらいに悪態が並んでいる。通常、そういう言葉が頻出する作品はうんざりしてしまうのだが、これに限っては、むしろ痛快とさえ思えた。周囲が悪態だらけのところに、主人公の神父が「罵りの言葉は控えなさい」などと言うのが妙におかしく、それによって全体の品が保たれているといった感じだ。

そもそもホラー作家だから、連続殺人犯の恐怖もしっかり描かれているが、そこにコメディとロマンスの要素も加わっており、さらにアクションとドラマチックな結末というおまけもついて、とても面白い作品だった。しかも舞台はサンフランシスコで、生きているかのような流れる霧と、「ブルー・ワールド」という言葉のイメージが重なって、幻想的なイメージもかもし出している。

(2005年1月20日)
スポンサーサイト

category: ロバート・マキャモン

trackback(0) | comment(0) | 記事編集

go page top

« ロバート・マキャモンその他の邦訳短篇  | h o m e |  SPEAKS THE NIGHTBIRD (2002) 『魔女は夜ささやく』 »

コメント

go page top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://allman.blog39.fc2.com/tb.php/1717-a5554b8f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。