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SWAN SONG (1987) 『スワン・ソング』 


2013.06.20
Thu
05:26

『Swan Song』/Robert R. McCammon (著)
マスマーケット: 956 p ; 出版社: Pocket Books ; ISBN: 0671741039 ; Reissue 版 (1987/06/01)

『スワン・ソング (上)』 Mystery paperbacks/ロバート・R・マキャモン (著), 加藤 洋子
単行本(ソフトカバー): 642 p ; 出版社: 福武書店 ; ISBN: 4828840435 ; 上 巻 (1994/04)

『スワン・ソング (下)』Mystery paperbacks/ロバート・R・マキャモン (著), 加藤 洋子
単行本(ソフトカバー): 633 p ; 出版社: 福武書店 ; ISBN: 4828840451 ; 下 巻 (1994/04)


1987年度ブラム・ストーカー賞受賞作
1988年度世界幻想文学大賞候補作


この第七長篇でマキャモンがオマージュを捧げるのは、荒廃したアメリカを舞台としたスティーヴン・キングの超大作『ザ・スタンド』

核戦争によって焦土と化したアメリカ。核の冬のもと、善なるものの啓示を受けて旅をする者たちがいた。癒しの能力を持つ少女、彼女を護るプロレスラー、生存者の一群を導くバッグ・レディ・・・。だが、破壊的な妄執を持つ元兵士を中心に、彼らに対抗する者たちも着々と勢力を増しつつあった。邪悪な空気を漂わせる真紅の眼を持つ男の見守る中、対決のときが近づいて・・・。

世評ほどマキャモン作品とキング作品は似通ってはいないが、善と悪の対決、邪悪な「男」など、本書と『ザ・スタンド』との相似はかなり強い。しかし、キング作品が壮大な叙事詩のような悠然たるリズムをもつのに対し、こちらはよりエンタテインメント的要素が色濃く、展開もスピーディなページターナーの仕立て。アメリカの支配階級の悪意を、ドロップアウトたちの純真さと対立させる手つきの明快さも非常にマキャモンらしい。そうしたはみ出した者たちが体現する、人間の普遍的な強さが謳われる終盤は感動的なシーンの連続である。

(ロバート・R・マキャモン作品案内/文藝春秋・編集部)

●MY OWN REVIEW

核戦争後の凄惨なホロコーストの中、物語は3つのグループ(①生き残った少女スワンとプロレスラーのジョシュ、②地下鉄の下水路で九死に一生を得たバッグ・レディのシスター、③崩れた核シェルターから脱出したベトナム帰還兵のマクリン大佐とゲームおたくのローランド少年)を中心に展開していく。

核による破壊もすさまじいが、最も恐ろしいのは、生き延びた人間たちの行動だ。上巻は、ほとんどスプラッター的な描写で埋め尽くされており、吐き気を催すような箇所もある。しかし事実は、それそのものがおぞましいのではなく、そこで必死に生き延びようとする人間の心理がおぞましい。もちろん、そんな核戦争を引き起こした人間、権力者はもっとおぞましい。たかが一介の大統領に、何億人もの人間を殺す権利があるというのか。自分たちは地球上で最も偉い生物であると勝手に決めている人類の思い上がりはとめどがなく、それがひたすら恐ろしいし、それこそ反吐が出る。

ただ、マキャモンはそれだけを書いているのではない。このような残虐なシーンを描きながらも、どこか一条の光がさしている。それが何なのか、下巻に期待したい。

下巻は、人々の顔と頭にできていた「ヨブの仮面」と呼ばれる腫瘍が割れ始め、その下から本当の自分の顔が現れる。言うまでもなく、善人は美しくなり、以前の傷も消えるが、悪人は例えようもなく醜い顔となって生まれ変わるのだ。そして、彼らがひとつに集まり始めたとき、少女スワンをめぐっての戦いになる。スワンのグループとシスターのグループがひとつになり、マクリン大佐たちと壮絶な戦いをする。すべては命を生み出す力を持つスワンを守るため。しかし、狂人の一群や、人類の全滅を望む得体の知れないデーモンたちが、マクリン大佐の軍に加勢する。つまり、類は友を呼ぶというわけだ。

ここで重要なのが、シスターの持っているガラスの冠と、スワンが持っている占い杖だ。解説には、それらが聖杯伝説と同じような働きをするとあったが、見知らぬ間柄であったスワンとシスターは、これによって出会うことができるのだ。ところが、ガラスの冠に触ったデーモンは、何としてもこれを破壊したいと考え、最後の最後まで執拗に追いかける。

邪悪な手におちたスワンとシスターが連れて行かれた先は、神が住む山と言われていたが、そこにいたのは誰あろう、この核戦争を引き起こした張本人。合衆国大統領であった。

いよいよ地球上の悪が勝ったと思い込んだ大統領は、全地球を破壊するために作られた「タロン」を始動させる。けれども、悪が勝ったわけではなかった。スワンは、そこでも人類を救うのだ。

この物語で、一番印象に残るのは、スワンを何としても守ると決意していたプロレスラーのジョシュだろう。どれだけ痛めつけられても、どれほど辛い思いをしても、必ずスワンを守るのだと。その姿には感動するし、またそういった人間は、私の好きなキャラでもある。そして、最後には身をもってスワンをかばったシスターもまた。長い年月ののち、最後にやっと太陽の光が現れ、シスターを照らす場面は、目頭が熱くなる。

この『スワン・ソング』も感動的だったし、苦手だと思っていたホラーも、実は嫌いじゃないかも・・・というか、これはホラーなんだろうか?たしかに得体の知れないデーモンのような生き物とか、凄惨なホロコーストの場面とか、ホラーであるとする描写は十分すぎるほどなのだが、ホラーというのは、だいたい悪が勝つものじゃないのか?と思う。マキャモンの作品は、邪悪なものが完全に滅びるとは言い切れないまでも、最後には正義や聖なるものが勝利して、ハッピーエンドになるのだから、後味がスッキリしている。だから私はマキャモンをホラー作家とは思わない。

「キング、クーンツに続く第三のホラー作家」といわれるマキャモンだけれど、キングの世界ともクーンツの世界とも違って、作品に何か人間的な温かみを感じて、マキャモンていい人なんだなあとしみじみ思ってしまう。キングなどは、邪悪なものを書かせると素晴らしいのだろうが、正義とか聖なるものの描写が下手だ。というより、合ってない。無理に善を描こうとすると、どこかぎこちなくて変なのだ。だから、キングは邪悪なものを描くことがテーマなのだろう。しかしマキャモンは、邪悪なものを描きながらも、テーマは善なるもの、聖なるものについてなのだ。だからいつもどこかに、光が射しているのだろうと思う。

(2004年03月27日)
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category: ロバート・マキャモン

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